こんばんは。今日は9月の満月。そして中秋の名月ですね。今夜も、西表島からエシカルラジオお届けします。
(2022年9月10日19:30〜配信スタート)
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#11 台風の季節
台風が近づいてきて気圧が変化すると、
耳の奥がツーンと鳴る。
子ども心に「来るぞ」と、感じる。
島の人は誰でも自分のいる場所を東西南北で把握していて、
自分の肌と耳と経験値を、気象の変化を感じてとれる。
台風は、大地と海に積もった汚れを初期化しにやってくる
ありがたい風神雷神様だ。
大きな風の手が、島のあらゆる緑をかき回すことで、
植物たちは種を遠くへ飛ばすことができる。
海の中のよどみや熱も攪拌されて、サンゴたちも一息つける。
子どもの頃は、台風がやってくるとワクワクした。
親父が雨戸に釘を打ち、小さな家の中に家族で閉じこもって、
家も心も飛ばされぬように、じっと暴風雨の洗礼に耐えていた。
屋根の赤瓦を持ち上げるような風の力を感じたり、
木々が不気味なうなり声をあげるのを怖がりながら、
真っ暗闇の中で一昼夜を過ごす台風は、
僕にとって年に何度かやってくる一大イベントだった。
ー仲程長治 作品集『母ぬ島』より抜粋
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