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台風の季節

更新日:2022年9月25日



こんばんは。今日は9月の満月。そして中秋の名月ですね。今夜も、西表島からエシカルラジオお届けします。

本コラムは、SpotifyYouTubeで音声コンテンツとしても配信しています。


(2022年9月10日19:30〜配信スタート)




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#11 台風の季節


台風が近づいてきて気圧が変化すると、

耳の奥がツーンと鳴る。


子ども心に「来るぞ」と、感じる。


島の人は誰でも自分のいる場所を東西南北で把握していて、

自分の肌と耳と経験値を、気象の変化を感じてとれる。


台風は、大地と海に積もった汚れを初期化しにやってくる

ありがたい風神雷神様だ。


大きな風の手が、島のあらゆる緑をかき回すことで、

植物たちは種を遠くへ飛ばすことができる。


海の中のよどみや熱も攪拌されて、サンゴたちも一息つける。


子どもの頃は、台風がやってくるとワクワクした。


親父が雨戸に釘を打ち、小さな家の中に家族で閉じこもって、

家も心も飛ばされぬように、じっと暴風雨の洗礼に耐えていた。


屋根の赤瓦を持ち上げるような風の力を感じたり、

木々が不気味なうなり声をあげるのを怖がりながら、

真っ暗闇の中で一昼夜を過ごす台風は、

僕にとって年に何度かやってくる一大イベントだった。


         ー仲程長治 作品集『母ぬ島』より抜粋






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