
5月の満月の夜に、西表島から「エシカルな旅」のコラムをお届けします。
(2022年5月16日19:30〜配信スタート)
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私がはじめて西表島に旅したのは、今から30年前のこと。
「西表島には、“モダマ”っていう世界でいちばん大きな豆の木があるんだって」という、友人のひとことがきっかけだった。
インターネットがまだ普及していなかった時代、
島の位置もよくわからないままに、大きな豆の木を見たくて旅に出た。
到着した西表島は、想像していたよりもずっと広くて大きくて、
やすやすとは人を寄せつけない亜熱帯のジャングルの奥にあるという
「モダマ」を見に行くことは早々に諦めた。
見たこともない風景や、知らない食べ物や生き物たちにカルチャーショックを受けたり、
滞在中に台風が発生して宿に丸二日間カンヅメになったことも、今では忘れられない思い出だ。
西表島の旅は、いつも計画通りには進まない。
予報にはなかった雨や風、想定外のハプニングはあたりまえ。
行きたかった場所に行けなかったり、会いたかった人に会えないこともあるけれど、
そうしたすべてに「身をゆだねた」時に、奇跡のような出会いが訪れる島でもある。
旅の醍醐味は、「目的ではなく、その道程(プロセス)にある」という。
結局、私がモダマの木に出会えたのはつい最近のことだが、
長~い旅の末の出会いだったからこそ、その感慨もひとしおだった。
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