こんばんは。今日は11月の満月。今夜も、西表島からエシカルラジオお届けします。
(2022年11月8日19:30〜配信スタート)
今回は、西表島の滝のお話。映画「生生流転」監督の仲程長治さんのエッセイ、後半です。
生生流転
映画の撮影のために西表島に通っていたとき、
壮大な滝の映像を撮りたいと思っていた。
何人かのガイドさんに話を聞いたところ、
何度も名前が上がったのが「マヤグスクの滝」だった。
地図を見ると「マヤグスクの滝」は島のちょうど真ん中あたりにあって、船と歩きで往復8時間はかかる秘境の滝だという。
僕たちには撮影という任務があるので、通常の行程に加えて「カメラ機材の重さ」と「撮影時間」という2つの足かせがある。
自分のカラダと機材をできるだけ軽くして、撮影時間を確保するために早足で歩いたが、計算外だったのはヒルとの戦いで、途中、川で何度か足を洗い流す羽目になった。
ただ、そうしたすべてを差し引いても、マヤグスクの滝は素晴らしかった。歩き始めて3時間が過ぎたころ、だんだんと滝の水音が近づき、目の前にその白い姿が現れたとき、身も心も一気に原始に押し戻された。
「マヤグスク」というのは島の言葉で「猫の城」という意味。ヤマネコの島の中央にそびえる、城のような滝とはよく言ったものだと思ったが、「マヤグスク」は愛称で、正式な名称は「イタシキの滝」というそうだ。
帰り道、滝から清流を下り、川から海へと向かう船の中で、
この島の水が絶えず流れて巡り、
そのすべてが繋がりあっていることを強烈に感じた。
そのとき、映画のタイトル「生生流転」が浮かんだ。
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