5月、2回目の新月の夜に、西表島から「エシカルな旅」のコラムをお届けします。
(2022年5月30日19:30〜配信スタート)
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#04 梅雨空の清涼音
西表島の梅雨は、空一面をグレーの雲が覆い、
うっそうとした森にはモヤがかかって、時折スコールのような雨が降る。
少し歩いただけでもシャツがじっとりしてくる
湿度120%の鬱陶しい季節ではあるけれど、梅雨ならではの楽しみもある。
夜明け前、静寂の中に響くリュウキュウアカショウビンの澄んだ声で目覚める朝は、
間違いなく西表島で体験できる「贅沢な瞬間」のひとつだ。
リュウキュウアカショウビンは、大きなくちばしが愛らしい真っ赤な渡り鳥で、
春に西表島に渡り、梅雨の頃に恋のお相手を探して、子育てをしながら夏を過ごす。
西表島では「ゴッカルー」や「ゴッカロー」「クカロー」と呼ばれて、
昔から「神様のお使い」として親しまれているそうだ。
キュロロロロ...という鳴き声が、口を水でゆすぐ音に似ているということで、
この時期の雨は「ゴッカルーの口洗い雨」とも言われる。
雨にけぶる緑を眺めつつ、雨音とゴッカルーの声を聞きながら
近づく夏を静かに感じることも、西表ならではの梅雨の楽しみ方なのだ。
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