こんばんは。今日は10月の新月。今夜も、西表島からエシカルラジオお届けします。
(2022年10月25日19:30〜配信スタート)
今回は、西表島の滝のお話。映画「生生流転」監督の仲程長治さんのエッセイを2回にわたってお送りします。
西表島には、無数の滝がある。
名前が付いている滝だけでも100近く、
名も無い滝を含めれば、亜熱帯のジャングルの中に数百もの滝があると言われている。
最もよく知られているのは、沖縄県最大の落差を誇るピナイサーラの滝。
県道の船浦橋から誰でも見ることができ、カヌーとトレッキングで
比較的容易に滝の下にも滝の上にも行くことができる。
「ピナイ」というのは西表島の言葉で「ヒゲ」のこと。
「サーラ」というのは「下がっているもの」という意味で、確かに滝の上から見てみると、
険しい岩肌から落ちた水が風になびいて、白いアゴひげを垂らした仙人の横顔のように見える。
その他にも遊覧船で見に行ける滝や、長いトレッキングの末にようやくたどり着く滝など
それぞれに異なる魅力があるのだが、なんといっても滝から川へ、川から海へと
その繋がりを丸ごと体感できることが、西表島でしか味わうことのできない醍醐味だろう。
ちなみに、僕がいちばん好きな滝はサンガラーの滝。
ここでは、舞台のように広がりのある岩場から白い緞帳のような滝が落ちていて、
その裏側に入ることができる。
滝の裏側はサーフィンでいうところの「チューブ」の中にいるような感覚で、
水しぶきを浴びながら滝の漠音に包まれていると、まるで別世界にいるような、
体の中から浄化されているような気分を味わうことができるのだ。
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