こんばんは。今日は11月の新月。今夜も、西表島からエシカルラジオお届けします。
(2022年11月24日19:30〜配信スタート)
#16 島のごちそう
旅の醍醐味のひとつに、
その土地ならでは食べ物がある。
西表島でいえば、まず春夏のパイナップル。
そしてもうひとつが、これからシーズンを迎える冬のカマイだ。
カマイというのは、西表島の言葉でイノシシのこと。
イノシシの肉は本土でも、ジビエや「ぼたん鍋」などでお馴染みだが、
西表島のイノシシは「リュウキュウイノシシ」という
本土のイノシシよりも少し小さめの亜種になる。
その味は、とろけるような甘味のある脂と、濃厚な旨みのある赤身が本当においしくて、
いわゆる獣(けもの)くささはまったくない。
聞いた話によると、西表島のカマイはジャングルを駆け回り、
山のドングリや椎の実を主食にしているので、
肉にはイベリコ豚のような旨み成分があるという。
日本では、毎年11月15日から2月15日まで狩猟が解禁となるので、
西表島でも今年のカマイ猟がはじまったばかり。
シーズンのはじまりには、カマイの霊をなぐさめ、山の神にご挨拶する安全祈願祭があり、
猟師自身がつくった「はねわな」を獣道にしかける。
そして、獲ったカマイは猟師自らが肉をさばいて、すべての部位を余すことなくいただくそうだ。
島の人たちにとっては田畑を荒らす厄介者でもあるカマイだが、
昔から貴重なたんぱく源として食してきた文化があって、
なくてはならない大切な存在だ。
旅人である私たちは、「山の神様からの恵み」を少しお裾分けしていただいているわけだが、カマイの肉を食べてその満ちあふれるような生命力にふれると、
「おいしい」という言葉とは別のところで、普段すっかり忘れていた
「命をいただいている」という感覚が呼び覚まされるような気がする。
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